株式投資の未来―永続する会社が本当の利益をもたらす ジェレミー・シーゲル (著)、 瑞穂 のりこ (訳)
投資家に本当の利益をもたらすのは、企業の急成長ではなく永続である ―― 株式投資の常識を覆し、銘柄選択のあるべき姿を提示した、株式投資の新しい教科書。
目次
第1部 「成長の罠」を暴く
第2部 過大評価される成長株
第3部 株主価値の源泉
第4部 高齢化をめぐる危機と世界経済の力学シフト
第5部 ポートフォリオ戦略
付録 S&P500当初構成企業の変遷とリターン
決して初心者向けの書籍ではありません。そして、「インデックスを買うだけ」とか「配当銘柄を買って放置」という人向けでもありません。そもそも“ほったらかし投資”の人は難しい書籍を読む必要はありません。将来を信じて売らずに買い増しあるのみです。
さて、この「株式投資の未来」に関しては、株式投資に慣れてきて「なぜなんだろう」「本当にそうなんだろうか」「納得できん」と悶々と過ごしている人向けで、上昇相場で儲けた人たちの書籍を読んで「良い時代でしたね」とひねくれた感想を抱く人に役に立ちます。
以前、「日経平均を上げたいなら上がる銘柄に入れ替えていけば良いのでは」と思ったことがあるのですが、米国のS&P500はまさにその通りだったようです。停滞してこの先上がりそうもない銘柄を外して、振興銘柄を入れていけば、ハズレなければ上がっていくのは当然です。
「この時に○○〇〇ドル投資したら今頃はいくらになっている」という振り返りも記述されていますが、それは事実と対比するためのもので、当時はリターンが期待できない銘柄だと思われていたものに投資した場合にどうなったのかという点が初心者向けの書籍との違いです。
インカムゲインとキャピタルゲインのどちらを重要視するのか。
「この時に買っていたら20年後、30年後はこうなっていた」という解説は全てキャピタルゲインです。この書籍の第一部と第二部を読めば上昇相場で儲けた人たちの言い分に疑問符がつきます。
配当金には税金が掛かるので、配当金を再投資するのは不利というありがちな説明も、よくよく考えてみれば、仮に配当利回り5%で手取りが4%になったとしても、最初から4%だと思えば、何も問題ありません。特に日本の場合は売却益と配当金に掛かる税率は同じです。
2003年ごろに執筆された書籍ですが、近未来の世界情勢をシミュレーションしています。それを現在と当てはめてみると、ほぼ当たっています。
あれこれ試行錯誤して「自分はこう思う」というある程度の方針を持っている人の答え合わせになる書籍ですので、まずは自分なりの方針を基に株式投資をやってみて、「なぜなんだろう」と悩む段階になった時にこの書籍を読むとそこそこ頭がスッキリします。
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