先日の日記にも書きましたが長期投資の世界では長老的な立ち位置にある澤上氏の書籍を読みました。この時も妙な違和感がありましたが、ようやくその理由が判明しました。
「日経マネー 2023年5月号」に掲載されている澤上氏の言い分を見れば、いろいろと外野から言われているんだろうなと分かります。
澤上氏は一貫して長期投資というものは企業投資であり、企業の成長を助けるものであると主張しています。ドラマなどに登場する「投資家」はたいていそうです。株の売買で目先の利益を追求するのは投資ではないと断言しています。確かにその通りだと思います。それはそれで良いんです。
30年とか40年前なら澤上氏の主張は正義だったと思います。海外の伝説的な投資家たちも同じです。
澤上氏の投資が上手くいっていて、他人から資産運用を頼まれ、ファンドを作り、依頼者たちの資産も長期的に増やしていく。ここまでは良いです。ファンドが雨後の筍のように増えた2000年以降は、長期の成績よりも年間の成績が重要視されるようになり、その辺りに澤上氏は不満を感じながらファンド会社を続けます。
積み立てNISAに「さわかみ投信」が含まれていない理由は「20年という期限は長期投資ではない」というポリシーがあるからだそうです。そして、「さわかみ投信」の平均利回りは年7%くらいあり、素人は「さわかみ投信」に資産の運用を任せておけばいいんだと断言します。
はい、ここで「長期投資」に関して二つのことが語られていることが分かります。「自分のためにやっている企業投資」「他人のためにやっている投資信託」です。完全に別物ですので、同時に語る必要はありません。
さて、「さわかみ投信」ですが、本当に利回りは年7%あるのでしょうか。
長期投資を素人に説明する時の数字のマジックそのものです。20年間平均すれば6~7%ですね。アベノミクス相場で日経平均が3倍になっているのですから、日本株が低迷していた時代から株式投資をやっていた人ならアベノミクス相場で儲けて、さらにコロナショックで暴落した時に買い向かって爆益だったでしょう。
アベノミクス相場のような上昇が未来永劫続くような説明です。これだと日経平均は10万円を軽く超えますね。
だったら直近の成績をどうなんでしょう。運用報告書が公開されているので見てみます。
2021年8月23日と2022年8月23日を比べて騰落率は2.4%になっています。「この荒れ相場で2.4%あるなんてすごい」というわけではないです。
日経平均の指数と連動するETF(MXS225)の価格
2021年8月23日 28320円
2022年8月23日 29250円
3.28%の上昇です。
さらにこの期間で貰えた分配金は1口あたり521円です。
(29250+521)/28320=1.0512
利回り5.12%です。
書籍にはインデックス投資をバカにした記述もありますが、現実問題としてコロナショック後の爆上げ以降は低迷している日経平均と比較して「さわかみ投信」はどうなんでしょう。
以上を踏まえてもう一度「日経マネー 2023年5月号」の記事を読むと澤上氏の本音がズバリ分かります。
「暴落した時に買って、小出しに売れば良いんだよ」
「さわかみ投信」の成績が振るわない理由は「暴落がこないから」ということになります。
「暴落待ち投資法」は一番簡単で分かりやすい手法ですね。勉強の必要もありません。世間が「株が暴落した」と騒ぎだして、株式投資を知らない人でも「株が暴落したんだって」と話題にしたらその時が“底”です。貯めこんだ現金をぶち込むタイミングです。配当金を貰いながら小出しに利確していき、全売り後は次なる暴落が来るのを待つだけです。
そんなことが面白いのかどうか。私はつまらないと思いますが、価値観は人それぞれです。
ちなみに私の成績です。
※楽天証券枠+ネオモバ枠 の推移グラフ(週)
同一期間の利回りを計算してみます、
2022年8月23日時点の取得価格 9,580,705円
含み益+実現損益+配当金-手数料
2021年8月23日 82,790円
2022年8月23日 2,559,239円
25.84%になります。
日経平均が3万円を突破した日に参戦したため、ひたすら嵐の中を突き進んでいます。
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