荻原氏の著書は今までも読んできましたが、この「知らないとヤバい老後のお金戦略50」もいつも通り“迷える子羊たちの妄想”を遠慮なくぶった切る内容になっています。
投資関連本は「超初心者が株を買ってみた」側に掲載していますが、書籍の感想については趣味ブログの方にもあります。使い分けは単に関連性の強さです。「知らないとヤバい老後のお金戦略50」も本来なら趣味ブログの範疇ですが、読んでみると株式投資ネタをバッサバッサと切り捨てているため投資関連本扱いにします。
読書層は、50歳代の「そろそろ老後のことを真剣に考えなくては」と、若くても「老後が心配でどうしたらいいんだろう」という人たちです。
知らないとヤバい老後のお金戦略50 (著)荻原博子
老後不安を解消する50の戦略。2019年に起きた「老後2000万円問題」によって、老後の生活に対する国民の不安が顕在化した。4000人を対象にした生命保険文化センターの「生活保障に関する調査」では、なんと84%もの人が老後の生活に不安を抱いていると回答しており、老後資金の確保は急務だ。本書は、映画でも話題となった「老後の資金がありません!」に陥らないための戦略と思考を、経済ジャーナリストの著者から徹底解説するものである。人生100年時代をサバイブする最強のお金戦略を年金、投資、節約、マイホーム、働き方の観点から取り上げる。まさに「老後不安への処方箋」だ。
目次
第1章 「年金」をおトクにもらう
第2章 「老後資金」は、これで大丈夫!
第3章 「投資」を疑いなさい
第4章 老後不安「3つの壁」の正体
第5章 老後資金の「稼ぎ方」
第1章と第2章は「そろそろ定年」という人には何かしらの雑誌とかムック本で得た情報と殆ど変わりません。第5章もそれなりに書籍を読んでいるなら新規性はありません。第4章は現実を知っている人たちからは反感を買いそうな切り方をしているため、ここは「その通りだ」と決めつけないほうが良いです。
第3章の投資関連ネタより、目から鱗だった点は「老後2000万円問題」は消滅したという指摘です。「老後2000万円問題」でマスコミが騒いで、便乗して書籍も大量に出版され、このネタで結構儲けた人もいそうです。
荻原氏の調査によると、コロナ禍でお金を使わない生活が定着したことで年金生活者の支出も激減して、年金だけで不自由なく生活できているようです。要するに知らぬ間に生活レベルを高めていたのなら、それをもとに戻せばいいのです。無駄な贅沢はやめましょう。
「老後2000万円問題」のためにリスクをとってまで無理に資産を増やそうとする必要はなく、しっかり働いて地道に貯蓄していきましょう。借金などせずに。
「コロナ禍でお金を使わない生活」に関連して、これが私の趣味関連の出費額の推移です。コロナ禍で旅ができなくなり、その費用を撮影機材に回していましたが、出かけることができないのに機材をあれこれ買っても無駄であり試し撮りにも飽きてきて2021年は激減しています。それでも「ちょっとやってみたい」とその他のものに出費していましたが、2022年はさらに減っています。
さて、『第3章「投資」を疑いなさい』の投資関連ネタから抜粋します。
・「iDeCo」なんて、おやめなさい
「メリット、デメリットを十分に理解しているのか」という指摘です。メリットよりデメリットが上回っている人が盲目的に「iDeCoはお得だ」と考えているのでは。さらに「iDeCo」も投資であることを認識していない人もいるのでは。
・「長期投資」のススメは疑いなさい
これは30年後がどうなっているのか誰にも分からないのに「30年間何も考えずに積み立て投資しておけばいいんだ」という風潮への警告です。
・「分散投資」に安心しない
これは個別銘柄の分散とか業種の分散というレベルではなく、円、外貨、株、債券、不動産のように大きな枠組みで分散させても、過去の大不況のようなことが起きたら全滅するということです。分散させているから大丈夫ではなく、常に警戒しましょう。
・「現金」の価値を再認識する
現金に関しては「賢明なる個人投資家への道」とは全く逆の解説になっていて、つまり大多数の株式投資本の書かれていることを全否定していることになります。株式投資本を大量に読んで私がモヤモヤしていた点をクリアにしてくれる解説です。株式投資本が100%正しいと思い込んでいる人がなぜ失敗するのか。それは根本的な考え方の違いがあるからです。金持ちがなぜもっと金持ちになっていくのか。それに通じるものがありますが、そこを理解できなければ、この書籍の『第3章「投資」を疑いなさい』を読んでも反感を覚えるだけです。
「荻原氏vs有名個人投資家」の対談をやってもらってそれを書籍にして欲しいです。経験も立場も違う人たちのバチバチの討論会に期待。
カテゴリ : 書籍など
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