株式投資に関する書籍は、伝説の投資家、経済評論家、元証券マン、儲けた個人投資家が著者であることが大多数です。株で負けた漫画家という例外はありますが、解説書というものは説得力が必要ですので、大負けした人が真剣に書いた書籍というものは非常に珍しいです。そんな珍しさもあって、古い書籍ですが「天才数学者、株にハマる」をポチしました。
天才数学者、株にハマる 数字オンチのための投資の考え方 (著)ジョン・アレン・パウロス
アメリカの人気数学者が、株式投資で大失敗。その体験に基づいて、あらゆる投資理論を実にわかりやすく解説。他に類のない投資理論の超入門書。
目次
第1章 何が市場で「正しい」のか?―他人の予想を予想
第2章 投資家の行動は合理的か?―恐れと欲がもたらす錯覚
第3章 テクニカル分析は役に立つか?―トレンド、群衆行動、波動
第4章 市場はどこまで効率的か?―偶然と効率的市場
第5章 ファンダメンタル分析は役に立つか?―バリュー投資と金利の考え方
第6章 リスクといかにつき合うか?―オプション、リスク、ボラティリティ
第7章 分散投資は有効か?―ポートフォリオの組み方
第8章 株価変動はカオスか?―ネットワーク、カオス、フラクタル
第9章 投資理論はパラドックス?―市場を超越できない投資家
天才数学者は「自分は絶対正しい」という強い自信をもって某銘柄を全力で買った挙句、大損害を被ります。天才ゆえ、「なぜなんだ!!」と株式投資の不条理さを“数字”を使って徹底的に解明しようとします。しかし、「理論通りにいかない」「理屈に合わない」の連続で、最後はギブアップします。
天才数学者の考えどおりに株式投資が上手く機能するなら、AIを使って完全放置でざくざくと資産が増えますね。実際は株式投資というものは心理ゲームみたいなものですので、理屈通りには進みません。
実際のところテクニカル分析とファンダメンタル分析の解説書を読めば読むほど“数字”に惑わされます。その数字の先を読めなければ、数字に騙されます。
つまり、数字に強い勉強熱心な人ほど、この天才数学者のように「なんで上手くいかないんだ!!」となるのです。
「予想が外れた!!」となるパターンはミクロで判断した場合が多いです。流れを含めたマクロな視点で考え、判断することが重要ですが、感情が入ってしまうと、ミクロな視点になりがちです。
数字が好きな人なら「天才数学者、株にハマる」を面白く読めると思いますが、そうではない人には苦痛かもしれません。
数々の修羅場をくぐってきたベテラン投資家に言わせたら株式投資というものは「理屈じゃないんだよ」という話かもしれませんね。
カテゴリ : 書籍など
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