給料が少ない中小企業に就職して、その3年後に結婚したので、いわゆる“小遣い”と言われているものはほぼゼロでした。お金の使い道を細かくやりくりする妻ではないので、“生活費”という形で渡して残りが私の取り分でした。当時はバブル経済ということもあって、残業がむちゃくちゃ多い日々でしたので、基本給が少なくてもなんとかやっていけるレベルでした。
世間はイケイケドンドンで景気が良いのになんで給料少ないんだろうと嘆いたものですが、銀行の定期預金の金利が良かったため「定期預金こそ正義」という雰囲気で、少ない賞与も定期預金行きです。それに加えて保険のオバちゃんたちの勧誘も激しくて「年間25万円だけど、20年後の満期時にまるまる500万円戻ってくる」なんていう今となってはありえない契約をしました。保険のカラクリを知らなかったため「子供が生まれたら契約を見直すべき」というオバちゃんの言いなりで契約を更新したのですが、そこから20年後になってから大きなワナにはまっていたことを知らされるのです。更新時に受取人が子供になっている「死亡保険のみ」というやつも追加契約していました。
「年間25万円だけど、20年後の満期時にまるまる500万円戻ってくる」はとっくの昔になかったことにされ、更新時に今まで払ってきた保険料を食いつぶすことになっていて、「あれ?積み立て分がまるまるなくなってる」状態になっていました。次の満期まで待つと積立金は完全にゼロです。それまでに700万円程度を払ってきたのにゼロになるのはおかしいではないかとキレて解約しました。残金は100万円で、それを定期預金替わりの契約に切り替えると、逆に利息で少しだけ増えていきます。銀行よりマシということで、それは放置してあります。
少ない給料でも「老後資金」を作る方法は「給料から天引きの財形預金」です。30数年前はそれが普通でした。当時の金利を考えれば、コツコツと積み立てていけば40年後には元本の2倍くらいにはなってるんだろうなと庶民なりの夢を描いていました。
さて、少し前に銀行から「財形預金」のお知らせが届きました。どれどれどのくらい増えているのかな。
残高 11,759,941円
コツコツと貯まったなぁ…
あれ…
電卓をたたくと…
あれ、あれ…
積み立て期間は31年6か月ですよ。毎月3万円です。つまり元本は11,340,000です。
31年6か月間でついた利息は、なんと419,941円だけです。積み立て&複利となるので計算がややこしいですが、3.7%しか増えていません。年換算だと0.117%程度です。唖然、茫然、愕然です。三十数年前の庶民には“投資”という発想などなかったとはいえ、これは酷いです。
ただ、今思えばバブル期に投資などしていたら、その後に悲惨なことになっていたので、庶民には「給料から天引きの財形預金」が安心度ナンバー1といえますが、もう少し夢を持てる制度かと思っていました。
今の若い人は「20年後、30年後、40年後を見た資産運用」の選択肢が数多くあるので、夢を持てるかもしれませんね。
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