長期投資の神様的な存在であるウォーレン・バフェット氏に関する書籍が大量に出版されていますが、表面的な誰でも分かりやすい事柄に終始している書籍が多いです。「分かりやすい=売れる本」だから仕方ありませんが、結局のところと「株の売買で利益を得る」という点を目的にしている限り、その手の書籍を読んでも、長期投資と言いつつも短期で儲けようと考えてしまいます。
バフェット氏を中心にしつつバフェット氏の友人、知人、師匠、関係者を数多く絡めて「真の長期投資とは何なのか」を解説している書籍を購入しました。
バフェットのマネーマインド 投資の神様はいかにして誕生したか (著)ロバート・G・ハグストローム (訳)小野一郎
2017年5月6日、ウォーレン・バフェットが初めて「マネーマインド」という言葉を使った。これは後継者の条件として語られた言葉だ。マネーマインドとはいったい何なのか。バフェット研究の第一人者が、バフェットの生涯を辿りながら、バリュー投資で巨万の富を築いた投資思考と人生哲学を徹底的に解明する。
第1章 若き日のウォーレン・バフェット
第2章 投資哲学を構築する
第3章 バリュー投資の進化
第4章 ビジネス視点の投資
第5章 アクティブ投資がうまくいかないわけではない
第6章 マネーマインド ── スポーツマン、教師、芸術家として
正直言って非常に退屈な書籍です。投資関連本にありがちな高揚感など全くありません。最後まで読むには相当な忍耐が必要ですが、読んでいる途中で「目先の利益を求める行為は全て投機である」と洗脳に近い状態になりますが、それがこの書籍の目的かもしれません。
巷に溢れている「バリュー投資」の解説本も結局のところざっくり過ぎて本質を語っていません。バフェット氏が進化させてきた「バリュー投資」という概念は、過去に縛られずに「今どうすべきか」「これからどうすべきか」を考え続けて、最適化を目指すもので、過去の「バリュー投資」の考えでは上手くいかないというのが前提です。それを説明するためにこの書籍には数多くの投資家が登場します。それらを踏まえてバフェット氏はこのように考えていたという構成です。
最重要ポイントの「自分で会社を経営してみれば何が正解なのか分かる」という点はその通りで、「ニトリの社長の予想が当たる」に通じるものがあります。
「株の売買で利益を得ている人の大多数が投機家である」ということを再認識させられる書籍です。「結局のところ投資家って何なの?」を知りたい人は必読です。そして戒めにもなります。
カテゴリ : 書籍など
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