これから何が起きるのかという当たりそうもない予想本より、過去に何が起きていたのかを株価の動きと照らし合わせて解説しているのが朝倉慶氏です。よって、これから似たようなことが起きれば「もしかしたら」という判断材料になります。
世界経済のトレンドが変わった! 襲いかかる負の連鎖 (著)朝倉慶
2016年は年初から世界中の株が下がり続けるなど、波乱の様相を呈しています。サウジアラビアとイランの断交、原油をはじめとする商品価格の暴落、失速しつつある中国経済の先行きもしっかり見据えておかなければなりません。そして日本はついにマイナス金利を導入しましたが、株安・円高と想定外の動きとなっています。一方で、絶対的に価値のある日本株は、売られすぎれば、再び大きく戻すのは必定です。日本を取り巻く激動や変化に翻弄されてはなりません。本書で世界経済の動向をつかみ、この混乱を自らの利益に還元してきましょう。
1章 暴走するサウジアラビア
2章 中国の凋落ぶりがすさまじい!
3章 救いようがない新興国とロシア
4章 日本経済はどうなるのか
5章 波乱ずくめの欧米
特別付録 朝倉慶の「株はこれが買いだ!」
日経平均の過去10年間の推移
2015年と2016年に大幅に下落しています。
この下落は結局何だったのかという解説ですが、ざっくりまとめると「売る側に売りたい理由があるから」となります。その売っているのは誰なのか、売りたい理由は何なのか。それを理解しておくと、これからも暴落レベルのことが起きても「またか!!」と多少なりとも冷静になれるかもしれません。最終的には狼狽え売りを誘発させることが目的になるので、明らかに売られている理由が明確でない場合は、現物を投げなければ、そのうち株価は回復します。ついでに大幅に下げられたときに買っておけば、後々の利益になります。
中国株の暴落の話は非常に興味深い解説です。いろいろと暴落を食い止める政策を実施して、その中に「空売り禁止」「空売り者を逮捕」という話は面白いです。下落が止まらない理由は、執拗な空売り合戦ですので、空売り禁止して、どうしても現物を売りたい人だけ売るなら暴落しません。それから、信用買いもそれなりに規制すれば、空売りしまくっても大口が現物キャッチしまくれば買戻しができなくなり、面白いことになります。中国の場合は政府の指示で証券会社がひたすら買ったようです。
アベノミクスで株価が上昇していっても経済はいまいち上手く回らず、ゼロ金利政策を強化させるタイミングで海外の大手機関がひたすら売りを仕掛けたことで、2016年に入って暴落したようです。しかし、初期段階の下げの理由がわからず個人投資家の狼狽え売り合戦でさらなる下げが進み暴落。そのタイミングで機関が買い戻して莫大な利益を出している。
つまり、適当な理由をつけて下げさせることで、便乗売りも始まり、信用買いの狼狽え売りで暴落ですので、結局のところ信用取引という制度がある限りは暴落は起きます。現物取引なら大きな出来事が起きても緩やかな下落になるようですので、まずは何が起きているのか冷静に情報収集が必要かもしれません。
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