投資家が「お金」よりも大切にしていること (著)藤野英人
「お金はおっかねー」「真に優秀な投資家の条件とは?」――カリスマファンドマネージャー藤野英人による「お金の授業」が始まる!人生でいちばん大切なカネの話をしよう
本書は、私が投資家として20年以上かけて考えてきた「お金の本質とは何か」の結論を一冊に凝縮したものです。特に、これからの日本を担う10代、20代に読んでもらいたい。なぜならお金について考えることは、自らの「働き方」や「生き方」を真剣に考えることと同義だから。若いうちにお金の見方が変われば、自分の人生や社会に対する見方も大きく、良い方向へと変わっていくでしょう。理想論を言っているのではありません。お金の本質を全く考えずに良い人生を歩んでいくのは、現実的に不可能なのです。カネの話は汚い、金儲け=悪だと思っている人は、世の中について何も知らないことを、自らさらけ出しているのかもしれませんよ。
目次
第1章 日本人は、お金が大好きで、ハゲタカで、不真面目(8割の学生が「お金儲け=悪」;日本人は世界一ケチな民族 ほか)
第2章 日本をダメにする「清貧の思想」(バットマンはなぜ「かっこいい」のか?;日本のヒーローは…公務員 ほか)
第3章 人は、ただ生きているだけで価値がある(経済って、よくわからない…;残業250時間の「ブラック企業」 ほか)
第4章 世の中に「虚業」なんてひとつもない(日本人は仕事も会社も同僚も、あまり好きではない;「会社」とは何か? ほか)
第5章 あなたは、自分の人生をかけて社会に投資している、ひとりの「投資家」だ(投資は、「お金」ではなく「エネルギー」のやり取り;エネルギーの8要素 ほか)
序盤に書かれている「アメリカの正義のヒーローは民間人、日本の正義のヒーローは公務員」のくだりは「あーなるほどなぁ」と妙に納得させられました。日本は昔から「それは国の仕事」「国がやってくれる」「国がすべきこと」のように自分でどうにかするのではなく、国という枠以外にも自分が所属している組織に依存する民族なのかもしれません。災害時の寄付金なども集まらない大きな要因は「どうせ税金という形で払うんだから」が根底にありそうです。間違いなくコロナ禍でのバラマキもあとあと「コロナ税」という形で徴収されます。
バブル崩壊後の「失われた10年」とか「失われた20年」という言い方を著者は嫌っています。最近いろいろ本を読むようになったことで私も「失われた」という言い回しはおかしいと思えるようになりました。著者は「失わせた」と考え、その失わせたのは誰なのかどこなのかという見方をしています。私は「バブル崩壊で日本の成長が止まった」と考えるようになりました。企業も個人も将来が心配になりお金を蓄えることこそが正義だと思うようになっています。あくまでも結果的にはという話になりますが、コロナ禍で収入が激減した企業でも内部留保があれば、なんとか持ちこたえることができたはずです。個人でも一時的に収入が減ったとしても貯蓄があれば何とか乗り越えたはずです。
経済はお金を回すことです。著者も心配していますが、中学生とか高校生にお金の教育を上手くできるのでしょうか。投資関連本でも「アリとキリギリス」を題材にしていますが、アリは「将来のため」にひたすら貯めこんで使うことなく死んでいきます。そして貯めこむ人ばかりでは経済は回りません。キリギリスのように遊んでばかりいて「国がなんとかしてくれる」では国の財政が崩壊します。
トップが世代交代してから何となく会社の行事に違和感がありましたが、この書籍を読んでようやく違和感の正体が分かりました。先代は「これからこうしていく」「こうすべき」という未来を語っていたのです、そのことで社員はやる気になっていきます。現社長は業績ばかり説明します。つまり過去です。当然ながら良い話はありません。聞かされた社員たちは暗い顔をして会場を後にします。
投資云々以前に「結局のところお金って何?」のところから学べる書籍です。高校生が読むと良いかもしれません。
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