2017年4月発売の書籍ですので、新鮮さこそ命である投資関連本としては、今さら感がありそうですが、実は今の荒れ相場だからこそ読んでおく書籍です。流行り物には触れず、いつの時代でも通用する普遍的な事柄に終始しています。
投資の鉄人(著)馬渕治好,岡本和久,竹川美奈子,大江英樹
今日、多くの方が将来のお金に対する不安を感じています。不安を感じつつも、どうしてよいかわからないという方も多いものです。しかし、将来の自分は今の自分が支えるより仕方がありません。
投資は、できるだけ早く、できるだけたくさん儲けようとするから難しいのです。少しずつ時間をかけて資産を育てていけば、とても簡単なものです。
人生を通じての資産運用を始めるのは、そんなに難しいことではありません。本当に難しいのはそれを続けることです。そして、続けなければ効果が出てきません。
長期的に資産を形成していくための「装置」を作り、それを点検しつつ「管理」していく。長い期間にわたって資産運用を続けていると、その道中にはいろいろな誘惑が登場します。しかし、それらに惑わされないで、ひたすら合理的なことを続けるのが大切です。「惑わされない」ことが資産運用の成功のカギです。
個人投資家を惑わす大きな要因は4つあります。それらは「情報」「相場」「商品」、そして、「自分」です。これらに惑わされず、投資を成功に導くにはどうすればよいのか。個人投資家に絶大な信頼を寄せられる資産運用のプロ4人が集い、4つのテーマから実践的にアドバイスします。
【本書の構成】
第1章 情報に惑わされない
担当：馬渕治好
第2章 相場に惑わされない
担当：岡本和久
第3章 商品に惑わされない
担当：竹川美奈子
第4章 自分に惑わされるな
担当：大江英樹
4人の専門家が各自の得意分野を担当した4部構成になっています。投資関連本をあれこれ読み漁っている場合は「あれ？これ読んだことがある」と気が付くかもしれませんが、4名それぞれの著書から抜粋したような内容です。1冊まるまる読むよりは「要するにこういうことです」を知りたい場合にこの「投資の鉄人」が適しています。それだけだと手抜き本になってしまうため、各パートのテーマごとに対談した内容も掲載されています。
大江氏の「第4章 自分に惑わされるな」に関しては、大江氏の書籍を読んだばかりですので、その復習になりました。「割安と安いは違う」「買った時の株価は忘れろ」をなかなか実践できそうもありません。それと「損切」と「ナンピン買い」に関しても、「なぜならば」部分を心理学の面から解説されていて、実際問題その通りですが、どうしても感情に足を引っ張られます。そこを突破できない限り、いつまでも初心者から抜け出せません。
竹川氏の「第3章 商品に惑わされない」に関しては、長期目線で投資信託にしましょうという説明です。短期で大儲けを狙うのではなく、長期で安定的な少しの儲けで良いと割り切れば、それこそ投資です。という話ですので、投資信託に関する書籍なり雑誌を読んでいる人なら重複します。
さて、「普遍的な事柄」が何なのかは「第1章 情報に惑わされない」と「第2章 相場に惑わされない」に書かれています。まずは、いわゆる「自己責任」です。知人に勧められた。セミナーの講師が勧めている。個別相談で専門家に勧められた。投資関連本で推奨している。仮にそうであっても、最終的に判断したのは本人ですので、特に投資関連に関しては全て「自己責任」です。外部的要因で何か起きても「自己責任」です。次々と飛び込んでくる情報に関しても、取捨選択するのは本人ですので、情報の洪水に流されず、本当に価値がある情報を掴むための能力を高める必要があります。
この書籍を読むとグサグサと刺されると感じる間は、まだまだ初心者レベルとなりますので、投資が上手くいっていると錯覚している初心者にお勧めです。
読み終えて、今の相場で個別銘柄をあれこれ我流で分析して「今が買い!」と買い向かって痛い目に遭うくらいなら、日経225銘柄を10本くらいピックアップして、何も考えずに日経平均が27500を割ったら全て購入、29500を超えたら全て売却していけば、大損することなく、そこそこは利益が出来るのではと思えてきました。つまり、中途半端な判断を入れないという割り切りです。
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