投資ブームということもあって続々と関連本が出版されます。実際に株ゲームをやってみると「現物取引」に拘るなら、「忍耐力」に尽きます。もちろんそこには軍資金があればという条件がつきます。ということで「株はメンタルが9割」というちょうど良いタイトルの書籍を見つけたのポチしました。
株はメンタルが9割 投資家脳に変わらなきゃ株は一生勝てない (著)長田淳司
短期投資はプロが相手の“丁半博打”、中長期投資こそ“素人投資家”が狙うトレード法、“大化け”小型成長株を見つける「たった5つの鉄則」、暴落したら“バーゲンセール”と考えろ、「株主優待銘柄」の正しい買い方…etc.リーマンショックで資産ゼロに!!どん底から這い上がった男が実践した「株で1億円貯める」教科書。特別付録:狙い目「厳選成長株」20銘柄。
第1章 “勝てる投資家”になるための思考とメンタル(“一流投資家”を目指さず“二流投資家”を目指せ!!)
第2章 メンタル投資術・基礎編(株式投資ほど“安全なもの”はない/美味しいラーメン店の株はなぜ儲かるのか?/自分に合った取引スタイルと銘柄を選べ/株主優待銘柄は「権利日の3か月前」に買え!/株価動向は“虫眼鏡”ではなく“望遠鏡”で見よ! ほか)
第3章 メンタル投資術・実践編(大きく儲けるには“小型成長株”を狙え!/株は「期待値」で買え!/暴落は“バーゲンセール”だと思え!/資金の余裕=メンタルの余裕/“最高の取引”を狙わず“最悪の取引”を避けよ ほか)
著者の肩書きが会社勤めの兼業投資家ですので、「短期ではなく長期投資」という“じっくり”取り組みたい人向けのアドバイス的な内容です。
序盤に書かれている「株式投資の儲けは我慢料」は名言だと思います。私も株ゲームを始めて3か月あたりで「これで儲けるなら忍耐力が必要だな」と感じて、6、7、8月はとにかく我慢の期間で9月で超初心者なりに利益を確保しました。ただ、我慢の期間は精神的につらいことは間違いありません。
我慢の一つ目は買うタイミングです。「ここまで下がってきたら買う」と決めてひたすら待つという我慢も必要ですが、たいていは「あとちょっとだったのに」と反転します。そこで「仕方ない。ちょっと予定より高いけど買っておくか」とやってしまうと翌日にあっさりと決めていた株価を割ってさらに下がります。なぜか、諦めて買わなかった銘柄はそのまま上昇するので、ほんと困ったものです。
我慢の二つ目は下落して含み益がマイナスになっている期間です。経験が浅いほど苦しみは大きいです。初心者向けの投資関連本に書かれている重要ポイント「いかに早く“損切り”して損失を減らすのか」を信じて損切りばかりしていては、結局のところ損ばかり増えます。売ってしまえばそこで損が確定します。チャートをじっくり眺めて「この辺までは戻ってくるはず」と信じて待てば戻ってくる可能性はありますが、全戻しという割合も少ないので、初心者向けの投資関連本では全否定されている“ナンピン買い”を発動させます。ゆえに軍資金が必要です。上手くナンピン買いができれば、半戻しでトントンでそれより戻せば利益がでます。もとに戻せば戻っただけなのに結構な利益になり、もとより大幅に上昇すれば、最初に100株買って諦めていた場合に比べて大きな利益を得ることができます。ここは忍耐力と軍資金によるところです。
さて我慢の三つ目の売るタイミングが難しいです。著者の「含み益がマイナスの人は目先の利益を求めて売ってしまい、含み損になっている銘柄を塩漬けしているから」というのも分かりますが、含み益が出ている銘柄もいきなり大幅に下落することが頻繁にあるため、そこそこ利益が見込めるうちに確定しておきたいです。
アナリストの言うことは信じるな。祭り相場には関わるな。投資資金はゲームの通貨だと思え。などなど経験していくとなんとなく分かってくることですが、ここまで断言してもらうと安心します。
ところが買うタイミングの解説を読んでいると何かしらの違和感が出てきます。序盤に書かれている著者の経験談を改めて整理してみると違和感が何なのか分かってきました。
リーマンショック以前に株売買を始めた。その過程でノウハウを身に着けた。リーマンショックで暴落して投資金を全て失った。リーマンショック後の民主党政権時代の株価が低迷している期間に勉強をして、将来的に大きく儲ける可能性に賭けて小型株に狙いを定め株を買い集めた。アベノミクス効果で株価がぐんぐんと上昇した。リーマンショックを経験したことでコロナショックをチャンスと見て買い集めた。
結果的に数百万円だった資金がもうすぐ1憶円に達する。
つまり、2021年になってから儲けているのではなく、過去の暴落時に買い集めるという勇気があったからこそ、2021年の株価急騰で含み益が爆増しているのです。
「株バブルが弾ける」と言っている人ほど、もしかしたら過去の暴落時に買い向かって大儲けしているのかもしれません。
「50万円を」とか「100万円を」とか「200万円を」という出だしで「1億円にしました」という人たちが今の投資ブームで表舞台に出てきていますが、リーマンショック後の民主党政権時代の株価低迷期が永遠に続いていたら「1億円にしました」となっていたのでしょうか。「株でこれだけ増やしました」を見るたびにそんなことを考える日々です。
今後「日経平均が31年ぶりに高値を更新したので株を始めました。100万円を1憶円にしました」という人が現れたら、その人こそ完全に自分の力で成し遂げたといえると思います。
カテゴリ : 書籍など
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