「FIRE」に関する書籍を買って読んだり、投資関連雑誌で記事を読むたびに「何だかなぁ」と感じることが殆どです。
「やることがあって会社勤めをする時間がもったいない」なら「FIRE」は手段ですから大いに結構なことです。しかし、「特にすることはないけど、働きたくない」では「FIRE」そのものが目的になって、実際に達成したとしても、そこからどのような人生を送るのでしょうか。
うちの弟はバブル崩壊後に就職しましたが、就職して数年も経たないうちから株を買っていたようです。当時はスマホでポチポチではないはずですので、会社勤めなのにどうやって株の売買をやっていたのかは不明です。弟には趣味は無く散財するような遊びもせず、独身者をこき使う職場だったようで、稼ぎを良かったようです。仕事で遠方に飛ばされていた期間も結構多く、本社勤務の時は親と同居でしたので、住居費はいっさいに掛かっていませんでした。
稼ぎは全て投資に回していたようで、結婚する気もなく四十半ばになり、世話になっていた親父がなくなると「金はあるので会社辞める」とお気軽なことです。何かしたいことがあって会社をやめたわけではなく、独身者というだけで、いろいろと待遇が良くないことに不満を持っていて、親父が元気なうちはいやいや会社に行っていただけでした。
で、いわゆる「FIRE」で働かなくなって何をやっているのかといえば、何もしていません。はたから見れば、引きこもりです。弟が将来的に住むためにという親心(?)で親父が某市に持っていた土地を相続した弟ですが、即行で売却して証券会社に入金したようです。独立することなく私が相続した離れに住んでいます。親父が亡くなった後は倉庫にするつもりでした…
無職ではカッコ悪いのでマンションでも買って、法人化させて「資産運用会社を経営しています」とすれば良いのでは?と私が言うと、1つで良いのに暇すぎるのかそれとも不動産屋に騙されたのかあちこち複数のマンションを買ったようです。FPの勉強をすると分かりますが、個人で投資目的のマンションを買っても儲かりません。あくまでも他で稼いでいる人の税金対策です。儲けるなら法人化して、自分の力で物件を開拓するしかないのです。不動産屋のシミュレーションなど買わせるための数字のマジックです。
ということで法人化もしていないため、弟は無職の引きこもりです。
さて流行りのネタ「FIRE」を「週刊ダイヤモンド」で取り上げています。
週刊ダイヤモンドなら結構真剣に検証した記事になっているんだろうかと期待して買いましたが…
年収が多い人が記事を書いているのか非現実的なシミュレーションです。それとも「FIRE」を諦めさせるためのシミュレーションならとても親切とも言えますが。
40歳で年収(手取りではありません)500万円、夫婦と子供2人で賃貸だと、30歳時点で投資資産が1000万円あって運用利回り6%なら60歳でFIRE達成。それって定年退職して年金貰うまで無理に働かなくても良いとなります。客観的に見て、40歳時点の年収が500万円、4人で賃貸、だと1000万円の投資資産があるわけないです。せめて50歳で「FIRE」したければ、条件が厳しくなってきます。
年収1500万円で持ち家なら「FIRE」など考える必要はないですね。
「FIRE」目指して具体的にどうすれば良いのかの解説ですが、「毎月12万円を利回り5%で30年間運用する」とありますが、そもそも「FIRE」を考えている人は、まだ若い人たちのはずです。少ない収入からどうやって12万円も捻出するのでしょうか。親と同居して衣食住全て親が負担して、収入を強制的に投資に回せば、ガツガツと仕事しなくても20年くらいで「FIRE」できそうですね。
不動産投資の説明も誤解を招くレベルです。借金して収入を増やすとなっていますが、借金をどうやって返すのでしょうか。家賃収入から税金を払って借金返済に充てたら残りませんよ。
元手250万円を18年で2億円にした弐億貯男さんの「いつでも辞めることができる」という状況にあるからこそ気持ちに余裕が持てて仕事を続けることができる。つまり「金のためだけ」に自分の時間を使っているわけではない。
これこそが「FIRE」の本質のような気がします。
とりあえず仕事は社会とのつながりという面もあるので、金があるからといって引きこもりという人生を送るのはもったいないです。それこそ時間の無駄です。人生は短いですよ。
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