株をやっていない人向けの一般誌とかビジネス誌などで、「今は株バブルだからもうすぐ弾けて暴落する」というような不安を煽る記述を見かけます。株の掲示板でも少しでも下落すると狼煙売りを煽るように「暴落する」と書き込む人が大勢います。
そんな不安を感じながら弱小個人投資家たちは株の売買をやっているわけですが、そもそも「株バブル」は事実なのでしょうか。コロナ禍で金を使わないから今まで株を買ったことがない人たちが参入してきていることは間違いようですが、それでもそういう人たちは株価を大きく動かすような売買などできません。
米株は長期間に渡って上昇を続けていましたが、日本株は例の土地バブルが弾けた時に株も大暴落して、そこから上昇することなく低迷していました。民主党時代には「来年は10000円を超えるのでしょうか」が年末あたりの経済番組のやりとりでした。それだけ経済が低いところで停滞していたのです。
安倍政権になりアベノミクスで日本株も上昇してきました。自転車旅をやっていた時に民主党時代はどこに行っても空いていましたが、アベノミクス効果なのか2014年ごろには宿が取りにくくなり、どこに行っても観光客が多かったです。2015年になると、随分前からプランを立てなければ、行きたいところに行けない状態になっていました。
で、新型コロナウイルス感染症の初期段階で株価は大暴落したわけですが、すぐに上昇を始めて、2021年1月末から2月中旬までの上昇は異常すぎるほど上昇しています。この短期間での爆上げが“バブル”と言われている点です。
本当にバブルなんだろうかと疑心暗鬼になっている個人投資家たちに「もうちょっと冷静になって」と諭すような書籍が発売されました。
株高・資源高に向かう世界経済入門 株がバブルというウソ
株価がなぜ高くなるのか、本当の「バブル」とはなにか、バフェットはなぜ商社株を買ったのか。日本経済は空前絶後の転換点を迎えた!
目次
第1章 賃金動向とインフレの問題
第2章 中国共産党創立100年の軌跡
第3章 凋落する中国の政治と経済
第4章 脱炭素と資源価格の高騰
第5章 上昇トレンド不変の株式市場
第6章 朝倉慶が読みとく注目株
よくある投資関連本ではなく経済そのものの解説から始まります。つまり、投資云々以前に知っておくべき知識を持ちましょうというスタンスです。
「第1章」は高度成長期からバブル崩壊までを丁寧に説明されていて、最後に「何がバブルだったのか。誰が弾けさせたのか」で締めています。ここは結構衝撃的です。
「第2章」は中国の話です。「第3章」はその中国に頼っている世界経済の危険性の話です。中国の匙加減で世界経済が大きく動くことが分かります。
「第4章」は脱炭素の危うさの話です。脱炭素は本当に正義なのか考えさせられます。
そして「第5章」が書籍タイトル「株がバブルというウソ」の本丸です。30年数年前のバブルとは全く違うことが説明されています。核になる部分は「誰が株を買っているのか」です。ここを読めば、一時的な下落があっても崩壊などしないと納得させられます。ただし、下落時に慌てないように準備しておく必要はあります。つまり、下落時に買い向かえばいいのです。
最後の「第6章」は著者の「今買うならこの銘柄です。なぜならば」といういくつかの銘柄の紹介です。既に株価が高まっているものは今が買い時ではないので、下落時に狙うか、まだ高まっていないものを買ってみると良いかもしれません。(私は買ってみました)
ありがちな投資関連本ではないため、気楽な気分で読む内容ではありません。時間がある時にじっくり読むことをお勧めします。読み終えた時には、下落時に安心して買い向かう勇気を持てます。
カテゴリ : 書籍など
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