2020年2月5日

イメージセンサ4サイズの写りを標準ズームで比較

新しい撮影機材を購入後に試し撮りをしていますが、単体での試し撮りとか似たような機材で比較をしてきました。

あれもこれも買い過ぎたことで似たような機材が増えすぎたような気がしますが、買い過ぎたことで「フルサイズ」「APS-C」「1.5型」「マイクロフォーサーズ」というイメージセンサの大きさが違う機材の標準ズームが手元にあります。

イメージセンサの大きさの違いを説明しているブログは検索すればすぐに見つかりますが、当たり障りのない記事としてはマップカメラでしょうか。

初めてのカメラ。 その4 ~35mm判換算とは何ぞ?~

この記事は「35mm判換算」の解説ですが、今回は記事中の「センサーの大きさ比較」の図です。「フルサイズ」に対して「マイクロフォーサーズ」がいかに小さいか分かります。

センサーサイズに対して画素数がどれだけあるのか。

フルサイズ SONY ILCE-7M3 (α7 III) : 有効画素数 約2420万画素(総画素数 約2530万画素)
APS-C FUJIFILM X-T20 : 有効画素数 約2430万画素
1.5型 PowerShot G1 X Mark II : 有効画素数 約1280万画素(総画素数 約1500万画素)
マイクロフォーサーズ OM-D E-M5 Mark II : 有効画素数 約1605万画素(総画素数 約1720万画素)

センサーの面積と画素数との関係で注目されるのは「高感度耐性」ですが、もう一点あります。それはレンズ性能です。

面積当たりの画素数を増やすと解像度の高いレンズが必要になるため、2400万画素のフルサイズ機と1600万画素のマイクロフォーサーズ機を比べると後者には良いレンズを使う必要があります。ピクセル等倍で比較するなら、ざっくりで6400万画素のフルサイズ機と戦わせる必要があるのです。

ということで、有利不利という並びで有利の順番に並べると…
1. α7 III
2. G1 X Mark II
3. X-T20
4. E-M5 Mark II

一番不利な「E-M5 Mark II」に「12-40mm PRO」を使うことでどこまで検討するのか、設計が古いとはいえ「G1 X Mark II」にレンズ非交換ゆえの専用設計の有利さはどこまであるのか。

機材は適材適所ですので、「似たような機材だから比較してみる」にあまり意味を持ちませんが、「α7 III を使うのか」「G1 X Mark II で良いのではないのか」の判断基準にはなるかと。

2月1日

本日の撮影機材

・SONY ILCE-7M3 (α7 III) + TAMRON 28-75mm F/2.8 Di III RXD
・FUJIFILM X-T20 + FUJINON XF18-55mmF2.8-4 R LM OIS
・CANON PowerShot G1 X Mark II
・OLYMPUS OM-D E-M5 MarkII + M.ZUIKO DIGITAL ED 12-40mm F2.8 PRO

撮影場所は豊田市の鞍ヶ池公園です。

JPEG撮って出し。ホワイトバランスは太陽光。
クリエイティブスタイル:スタンダード
フィルムシミュレーションモード:スタンダード
ピクチャーモード:Natural

ピクセル等倍切り出し後にアンシャープマスクを少し掛けてあります。(量:20,半径:1.0,しきい値:0)


ワイド端の比較。(絞りは全てf8)

中央部分をピクセル等倍切り出し。


α7 III (f/8,1/400,ISO100,28mm)

一枚目から「SONY ILCE-7M3 (α7 III) + TAMRON 28-75mm F/2.8 Di III RXD」が良いに決まっているという結輪ですが、そこは重要ではなく他の3台がどこまで検討しているのかが問題です。


X-T20 (f/8,1/240,ISO100,18mm)

明らかに劣っています。「FUJINON XF18-55mmF2.8-4 R LM OIS」のワイド端はf8まで絞ってもあまりよくありません。


G1 X Mark II (f/8,1/320,ISO100,12mm)

こちらもさすがに無理がありそうです。


E-M5 MarkII (f/8,1/250,ISO100,12mm)

圧倒的に不利なはずの「E-M5 MarkII」でも「M.ZUIKO DIGITAL ED 12-40mm F2.8 PRO」を使えば「G1 X Mark II」を上回ります。


テレ端の比較。(絞りは全て開放)

中央部分をピクセル等倍切り出し。


α7 III (f/2.8,1/2500,ISO100,75mm)


X-T20 (f/4,1/900,ISO100,55mm)

「G1 X Mark II」にも負けています。


G1 X Mark II (f/3.9,1/1000,ISO100,62mm)


E-M5 MarkII (f/2.8,1/1600,ISO100,40mm)


テレ端の比較。(絞りは全てf5.6)

中央部分をピクセル等倍切り出し。


α7 III (f/5.6,1/800,ISO100,75mm)


X-T20 (f/5.6,1/480,ISO100,55mm)

「α7 III」との差が大きすぎます。


G1 X Mark II (f/5.6,1/500,ISO100,62mm)


E-M5 MarkII (f/5.6,1/500,ISO100,40mm)

ここでも2位をキープ。

「常に α7 III を使っておけば良いじゃん」といかない理由は「機材は適材適所」であり、何時間を歩く場合や、運搬できる機材に制約がある場合にフルサイズ機を持っていくわけにはいかないのです。


ワイド端の比較。(絞りは全てf8)

中央より少し下の「馬」をピクセル等倍切り出し。


α7 III (f/8,1/400,ISO100,28mm)

ピクセル等倍でここまで写っているなら50%トリミングは余裕です。


X-T20 (f/8,1/280,ISO100,18mm)

「α7 III」との差が広がります。


G1 X Mark II (f/8,1/400,ISO100,12mm)

もともと画素数が少ないためトリミングせずに使いたい。


E-M5 MarkII (f/8,1/320,ISO100,12mm)

JPEG撮って出しでもシャープネスが結構掛かっているような感じです。

オリンパスの機種はE-20やE-1の時代からWBが変に転ぶ傾向があります。雲をグレー補正してみると実物に近くなります。


左がJPEG撮って出し、右がグレー補正した写真です。

ワイド端でスナップ撮影した場合はどうでしょうか。遠景ではないため絞りは全てf4にしました。「青空と赤い車両」という難しい被写体です。


α7 III (f/4,1/1600,ISO100,28mm)

SONY機で青空を写すとどうしてもマゼンタ寄りになってしまいます。


X-T20 (f/4,1/900,ISO100,18mm)

X-T20は明るく写そうとする傾向にあるのかもしれません。


G1 X Mark II (f/4,1/1000,ISO100,12mm)

“JPEG撮って出し”ならCANONが一番素直で一般受けする色味かもしれません。


E-M5 MarkII (f/4,1/1000,ISO100,12mm)

ここでもWBが何かに引っ張られて変になっています。


雲をグレー補正してみました。

ピクセル等倍で見なければどれも素晴らしい写りをしていると思います。つまり今どきのデジカメを買えば大多数の人は満足するであろうということです。中でも、2014年3月発売の「G1 X Mark II」の優秀さに感心します。


フェンス越しにワラビーを狙ってみました。「ちょっと望遠が足りない」という場合に「トリミング耐性がどのくらいあるのか」が重要になってきます。


α7 III (f/2.8,1/2500,ISO100,75mm)

レンズそれぞれに得意な距離というものがあるのでしょうか。「TAMRON 28-75mm F/2.8 Di III RXD」は2mから3mの距離にある被写体の描写力が素晴らしいです。


X-T20 (f/4,1/1100,ISO100,55mm)

「XF18-55mmF2.8-4 R LM OIS」は全域において開放絞りの写りが良くありません。


G1 X Mark II (f/3.9,1/1250,ISO100,62mm)

「マイクロフォーサーズより大きい1.5型センサーなのに1280万画素しかない」がメリットになっています。


E-M5 MarkII (f/2.8,1/2500,ISO100,40mm)

ここではちょっと残念な結果です。


50%リサイズ後にトリミングして比較した方が実用的な判断材料になるかもしれません。「G1 X Mark II」の健闘ぶりが目立ちます。


最後に遠くにいるポニーをテレ端で撮ってみます。絞りは全てf5.6です。


50%リサイズ後にトリミングしました。50%リサイズでも「X-T20」がちょっと残念に感じる原因は「XF18-55mmF2.8-4 R LM OIS」にあるのかもしれません。

今回の機材は全て新品で購入したものですが、いろいろと爆買いしている中で気が付いたことがあります。それは「実際の価値は中古価格にある」です。「新品で買うと妙に高いのに、それをすぐに売却しても購入価格の半額にもならない」という機材があります。その逆に「えっこんな価格で買い取ってくれるの」という場合もあり、そのような機材は中古価格が新品とそれほど変わりません。

ということで、2020年2月上旬時点の中古価格を調べてみました。(参考:カメラのキタムラ 状態ABランク以上)

SONY ILCE-7M3 (α7 III) … 178000円
TAMRON 28-75mm F/2.8 Di III RXD … 74800円
FUJIFILM X-T20 … 44990円
FUJINON XF18-55mmF2.8-4 R LM OIS … 29480円
CANON PowerShot G1 X Mark II … 26730円
OLYMPUS OM-D E-M5 MarkII … 41800円
M.ZUIKO DIGITAL ED 12-40mm F2.8 PRO … 55000円

「TAMRON 28-75mm」が74800円、「XF18-55mmF2.8-4」が29480円、「ED 12-40mm F2.8 PRO」が55000円ですので、性能差があって当然です。

「X-T20」に「XF16-55mmF2.8 R LM WR」を使った場合にどうなのか気になりますが、新品で118890円、中古(AB)で79750円もします。検証目的で散財できる金額ではありませんね。

「XF18-55mmF2.8-4 R LM OIS」からの買い替えなら「XF16-80mm F4 R OIS WR」が候補になりますが、X-T3のセット品だけに単品で買うと割高です。

X-T3 XF16-80mmレンズキット … 216,720円
X-T3 ボディ … 160,360円
XF16-80mm F4 R OIS WR … 92,070円

「どうせ買うなら噂になっている『X-T4』とセットが良いんだろうか」と妄想する日々です。